地質学からの便り 書評『動く大地、住まいのかたち プレート境界を旅する』が届く(伊藤孝/茨城大学)


『動く大地、住まいのかたち プレート境界を旅する』岩波書店、2017年3月について建築家の島田陽さんが、自らの旅行体験を重ね合わせつつ書評されています。

1000年後のBuildinghoodに参加する──中谷礼仁『動く大地、住まいのかたち』評

そして本日、雑誌『科学』連載中以来ずっと気になっていた地質学領域からの便りが届きました。書評です。
同書は建築の歴史を生業とする私にとって未開拓だった地質学にも触れた著作です。旅の途中でその必要性を強く感じにわか勉強をしたのです。こんなふうに全く新しい領域を対象とする時、先行研究に対しておおきな間違いをしている可能性があります。

そのため書籍化前に科学雑誌に連載させてもらい、特に地質学の専門家からお叱りなど受けられれば、後に反映することができると思っていました。しかし世の中そう甘いものではなく、目立った反応はありませんでした。書籍として恐る恐る世に問うたところでしたが、ようやく、それも本丸の日本地質学会の会報に同書の書評を掲載した旨、執筆者の伊藤孝先生からご連絡がありました。地質学会のご厚意でこの書評は一般公開となりました。

紹介 『動く大地、住まいのかたち プレート境界を旅する』・日本地質学会News 2017年9月号,4p.(書評がダウンロード(PDF)できます。)

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日本地質学会といえば、今から100年以上前の1893年に創立された日本の地球諸科学関連学協会の中で最大規模の学会。約3800人の専門家、実務家、学生、同好の士が所属しています。

伊藤孝先生は地質学、海洋地質学、地球化学、鉱床学が専門で、特にマンガン鉱床の時空分布,およびその地球化学的・同位体的特徴からみた地球表層環境史(リンク先より)の研究ということで、否が応でも想像がわきたつ研究領域です。

以前、千年村プロジェクトの千年村候補地マップ構築途中で、平安時代後期編纂の辞書『和名類聚抄』記載の郷名の比定地を空間プロットしていました。その最中、偶然、ベース地図を地質図にしてみた時の村落立地と地質図との深い関連を発見して地質に興味を持ちました。その時以来、ようやくここまでたどり着いたかという印象です。どうぞ今後ともよろしくお願いします。

 

rhenin について

中谷礼仁(なかたに のりひと)歴史工学、アーキオロジスト。早稲田大学建築史研究室所属、教授、千年村プロジェクト、日本生活学会、日本建築学会など。著書に『動く大地、住まいのかたち』、『セヴェラルネス+』など。
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