リンク紹介:「小保方晴子氏の博士学位論文に対する調査報告書」に対する 早稲田大学大学院 先進理工学研究科 教員有志の所見


2014年7月17日に「早稲田大学大学院先進理工学研究科における博士学位論文に関する調査委員会」(小林英明委員長)による調査報告書が早稲田大学に提出されました。当日小林委員長による記者会見と概要書の配布が行われ、さらに7月19日に個人情報に関する修正処理を施された報告書全文が早稲田大学の下記ウェブサイトより公開されました。
http://www.waseda.jp/jp/news14/140717_committee.html

また7月24日(25日一部訂正)に、早稲田大学大学院 先進理工学研究科 教員有志として、同報告書に対する所見が発表されました。
教員有志とは以下の教員の方々です。
岩崎秀雄(電気・情報生命専攻 教授)
小出隆規(化学・生命化学専攻 教授)
寺田泰比古(化学・生命化学専攻 教授)
勝藤拓郎(物理学及応用物理学専攻 教授)

7月28日現在、当教員有志運営の複数のホームページから同一文書が公開されています。

勝藤拓郎 http://www.f.waseda.jp/katsuf/Takuro/20140725v2.pdf
寺田泰比古 http://www.chem.waseda.ac.jp/terada/2014725yuusi.pdf
小出隆規 http://www.chem.waseda.ac.jp/koide/20140725.pdf

内容についてのコメントは、専門分野の違い上、控えさせていただきますが、どちらも詳細な内容とともに立場の明瞭な違いを表しています。ぜひ興味のある方はご一読されることをお勧めします。

私は早稲田大学理工学研究科建設工学専攻として博士の学位(工学)を1998年にいただきました。大変な作業でした。近世大工の奥義を扱ったものだったので、コピペしようにも先行研究が3っつぐらいしかないという有様(コピペしていませんが)。200年前の大工たちと架空で話さざるをえなかった孤独な状況には、いまだに寂しい思い出がつまっています。

私は早稲田大学が毅然とした措置を最終的にとることを確信しています。なぜなら皆さんも当然ご承知のように、小保方晴子氏の博士学位授与の過程についての曖昧な決着は、私が同大学より博士号の学位を受けたことの事実、そしてその学位を信頼して社会的におつきあいいただいている方々を傷つけることになるからです。そして、何よりも今後この大学で博士号をとろうとしている学徒達の気持ちをそいでしまうであろうことを恐れます。その意味で、この問題は真偽問題のみならず、教員組合が自らの職能の地位保全を求めて主体的な検討と主張を行いうるとも考えます。最近組合活動をさぼっていたので、今度の職場会にはでるようにしたいと思います。(ちょっとあとから文章をより正確な表現にかえるかもしれませんのであしからず。)

rhenin について

中谷礼仁(なかたに のりひと)歴史工学、アーキオロジスト。早稲田大学建築史研究室所属、教授、千年村プロジェクト、日本生活学会、日本建築学会など。著書に『動く大地、住まいのかたち』、『セヴェラルネス+』など。
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リンク紹介:「小保方晴子氏の博士学位論文に対する調査報告書」に対する 早稲田大学大学院 先進理工学研究科 教員有志の所見 への2件のフィードバック

  1. kenji noguchi より:

    私は高校の頃から化学、物理学が好きでした。ただ、就職した結果プログラマーになりました。コピペはなくてはならないテクニックです。今では、object指向化が進み、コピペも姿を変えたのです。論文においても、コピペの問題視に疑問があります。既に発表された論文であればそこから進化させれば良い。言うなら、ライブラリ化です。私は現在の論文の書き方も詳しくは分かりませんが、良い表現はライブラリ化し、コピペの自由化を推進すれば良いのです。プログラミングは複雑化し、もはやコピペ(ライブラリ)無しでは作るのは不可能です。論文も、作成時間の短縮化、審査の分かり易さの為、独創性を分かりやすくするためにも、コピペのfreeを推進したらどうでしょうか?それが、進化につながると思います。
    前置き長くなりましたが、本記事の“7月28日現在、当教員有志運営の複数のホームページから同一文書が公開“の3つの文章ですが、どれも同じ表現が多くあるように見えます。小保方氏の博士論文に問題点があるとすれば、その作成過程の難しさ(内容ではなく書き方)に起因すると思います。規則を見直し、審査体制を見直しただけでは解決にはならないし、本当の意味の信頼回復には繋がらないと考えます。
    以上です。

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    • rhenin より:

      コメントありがとうございました。学問は過去の蓄積の上に成り立っていますので、おっしゃるように過去の遺産は、膨大なライブラリからの正当な引用によって、積極的に活用されています。その意味ではご提案は「コピペ(ライブラリ)」ではなく「引用(ライブラリ)」と表現すべきかもしれません。いかがでしょうか。いわゆるコピペの問題は、書き手の「独創性がわからなくなる」ことが端的な問題です。引用は逆に主体の「独創性」をわかりやすく明らかにしてくれます。

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