エジプト再訪見聞録(準備編)2016年2月29から3月11日


2016年2月29日の深夜に羽田を出発し、3月11日の深夜間近に日本に戻りました。行った先はエジプト。1994年に吉村作治調査隊に当方の所属していた研究室が共同発掘を行った時に一ヶ月ほど同行させてもらった時以来でした。

東日本大震災以来、壊れなかった村を探す千年村プロジェクトや大地を動かすプレートテクトニクス境界でどんな文明や住文化が起きてきたのだろうかを見に行ったプレート境界の旅(このブログ内のタグでOn the edge tourを選択するとノートが出てきます。現在岩波『科学』で増補して連載中)などをしてきました。

その中でエジプトは再び興味のある地となってきました。それは五千年村とでもいうべき定常性がナイル川流域に展開しているからであり、もう一つは古代大文明の中でエジプト文明だけ(これもまた不思議な話なのですが)がプレート境界付近になかったからです。運良くJSPS(日本学術振興会カイロ研究連絡センター)にお招きいただき、早稲田大学のイスラーム地域研究機構の資金協力も得て、無事に行うことができました。所長の深見奈緒子先生、同行の太田敬子先生(北海道大学)、田熊隆樹さん、ドライバーのジブリールさんに感謝します。ちなみに田熊さんは一年休学して世界を歩いていた当方の研究室所属の学生で、健康状況の掌握がてら誘いました。彼はその後幾つか国を経由して3月中に帰ってくる予定です。元気な姿で帰られることを祈ります。

旅程は以下の通りです(途中ルクソールを以下件の為、1日増やしました)。アスワンからナイル川沿いにカイロに車で戻る計画です。注)ソハーグ、アシュートは宗教対立のため旅行者の自由行動は禁止です。警察の手厚い護衛が必要になります。私たちもアシュートからはミニアによらず新しく出来た東方のハイウェイを利用してカイロに戻りました。

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最終的にはナイル川の超定常性の自明を剥ぎ取るまでにはいかず、その表面をなぞっただけになりました。ナイル川の立地(要は「ナイル川はなぜそこにあるのか」、みたいな)についての幾つかの気づいたこと、そしてナイル川沿岸の古都市における神殿に用いられていた石と産地の関係、その用材の持つ象徴性について一定の知見を得ましたので、後日まとめてみたいと思います。大地とは、当たり前ですが、時空を超えて太古の地質と現在が直接遭遇することです。とりあえずトラックログや地質図などのファイルを上げておきますのでご興味のある方はダウンロードください(GoogleEarthでみれます)。

エジプトの情勢も変化していますが、エジプトの大地やそこでの人々の基本的な生き方は変わっていませんでした。他の国と比較してもグローバライゼーションの影響は外見上と食べ物上は緩やかでした。緩やかすぎるかもしれません。

1994年の1月のノートにあったルクソールの王家の谷を山側から東岸を見た時のスケッチと現在の様子を比較しておいておきます。スケッチは当時、西本真一先生に王家の埋葬場所である王家の谷から、ハトシェプスト葬祭殿までの山越えルートに連れられて登った時。無音の世界に来た初めての経験でした。西本先生は彼方の砂漠に古代道が見えると言っていましたが、残念ながら僕には見えなかったのを覚えています。僕も西本先生がしてくれたように、田熊くんにこの風景を見てもらいたかったのでした。今回は、山を防衛拠点にしていた警備の若い兵隊に誘われて一緒に山を降りました(もちろん連行ではありません。他の旅行者も自由に歩いていましたよ)。

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1994年1月のスケッチ

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2016年3月7日撮影

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rhenin について

中谷礼仁(なかたに のりひと)歴史工学、アーキオロジスト。早稲田大学建築史研究室所属、教授、千年村プロジェクト、日本生活学会、日本建築学会など。著書に『動く大地、住まいのかたち』、『セヴェラルネス+』など。
カテゴリー: "On the Edge Tour 2013", Millenium Village Movement, Uncategorized パーマリンク

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