「これは聖なる仕事だ」展覧会「みなでつくる方法―吉阪隆正+U研究室の建築」国立近現代建築資料館、平成27年12月3日(木)~平成28年3月13日(日)


展覧会全体の紹介文を掲載させていただきます。今回作られたカタログは大変わかりやすい良本です。無料で資料館にて配布されております。部数に限りがあります。ぜひ入手してください。

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みなでつくる方法をもとめて 吉阪隆正+U研究室の建築について

 これは聖なる仕事だ。

 全員でかかれ。

 難しい工事じゃない。

 何千年前の人たちの知恵なのだ。

これは吉阪隆正の言葉です。1965年大火災に遭遇した伊豆大島の島民に、雨水を取るための堰山を築く計画を提案したのです。この計画を聞いた一人はその提案へ抱いた共感を私に話してくれました。

現代の建築は高度化し、専門化し、ますます一般の人々と離れつつあります。しかし球が転がりやすいのは普遍であり、現代建築もそんな原理の積み重ねによってできあがっています。つまり、高度な建築とわたしたちはある道を通じてつながることができます。

それは、みなが感激できる劇的な存在があるという仮説です。それを信じたのが吉阪隆正でした。それゆえに吉阪は「みなで作る方法」があることを確信しました。人に訴えるたくさんの言葉を遺し、協力者とたくさんの図面を描いてきました。その協力者たちをU研究室といいます。各々が提案し、粘土模型を囲んで話し合い、ちょっとした出来事によって決定的なアイデアが生まれ、そのかたちは《みなのもの》になりました。忙しい時は、寄った御用聞きさんに、図面の目地を描いてもらったそうです。自宅を、もう一つの研究室として解放し、プレファブ小屋を建て、いろんな人が出入りしました。そこはまるで村のようだったと思います。

言葉遊びのうまかった吉阪はU研究室のUが何を意味するのか、みなの解釈に任せたそうです。それぞれの解釈はことなりながら、「U」という言葉の形があることは認めざるをえないことと、《みなで作る方法》とはどこか似ています。

みな一人一人が違う考えを持っているにもかかわらず、かたちを媒介にして、みなのものが作り上げられていく。この展覧会では、そのような彼らが作り上げたかたちや言葉や実際の建築づくりを集めてみました。

幼少時代をスイスで過ごした吉阪少年が気付いたこと、それは、近代とはみなの違いを認める寛容(Patience)であり、さらにその違いを平和裡につなぎ合わせること(Unity)でした。それがみなで作る方法であり、U研究室は、みなで作れる方法を常に探し求めていたのでした。(中谷礼仁)

テーマはDiscontinuous Unity、それぞれ違う個性のあつまり(有象無象)の中から統一した形が現れる方法とそれを遂行するグループの核心に迫ることです。

【展覧会のみどころ】
「みなでつくる方法─吉阪隆正+U研究室の建築」では,国立近現代建築資料館に収蔵された,約8,500点の図面をもとに,彼らのユニークな建築とそのつくられ方を紹介します。
考現学の今和次郎を師とし,パリのル・コルビュジエのアトリエでの経験を経て建築家として開花した吉阪隆正は,同時に教育者,極地を踏破した探検隊長,そして文明論者でした。
U研究室は吉阪の活動に共鳴した若い協力者によって構成され,そのアトリエではたくさんの「ことば」と「かたち」とが模型を介しながら,建築作品として結実していきました。
本展では,吉阪の世界観にもとづく集団設計方法である「不連続統一体―DISCONT」を「みなでつくる方法」と捉え直し,彼らの年代ごとの主要なプロジェクトを,図面,吉阪自身のことば,模型,関係者への聞き取り,現存する建築断片などで構成して展示します。彼らの方法は,分業化がますます進みつつある現代建築においても有効な建築の社会的役割を示唆しています。

【建築家紹介】
吉阪隆正(よしざかたかまさ/YOSIZAKA Takamasa)
1917年東京都生まれ。33年ジュネーブ・エコール・アンテルナショナル卒業。41年早稲田大学理工学部建築学科卒業。59年早稲田大学教授。69年早稲田大学理工学部長。73年日本建築学会会長。今和次郎に師事して民家調査,住居学に取り組んだあと50年から2年間,パリのル・コルビュジエのアトリエに勤務。54年に吉阪研究室(64年にU研究室へ改組)を設立。建築家としてだけでなく,教育者,アルピニスト,文明批評家として多くの著書を残した(『吉阪隆正全集』全17巻)。ル・コルビュジエの著書『建築をめざして』などの翻訳も行なう。80年,63歳で逝去。(以上プレス・リリースより)

チラシは以下の通り
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rhenin について

中谷礼仁(なかたに のりひと)歴史工学、アーキオロジスト。早稲田大学建築史研究室所属、教授、千年村プロジェクト、日本生活学会、日本建築学会など。著書に『動く大地、住まいのかたち』、『セヴェラルネス+』など。
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