日本建築の昼と夜(柱間装置の文化誌)映像制作開始 協力YKK窓研究所


YKK窓研究所という機関があります。そこから研究を委託されていたのですが、構想一年間、「日本建築の昼と夜」という映像シリーズの撮影を始めることになりました。DSCF9703瀬尾監督(鈴木了二研で卒論で映画構成論研究後、早稲田建築賞受賞後、中谷研究室修士課程に)です。

拙著『セヴェラルネス』に収録されている論考の中に、「桂の案内人」というものがあります。桂離宮の行幸記から、当時の桂での遊び方を復原した結果、私たちは夜に現れる日本建築の貌を全くと言っていいほど知らない(そもそも閉館時間があるので)ことに気づきました。そしてその真の意味に驚き、昼のみならず夜の日本建築そして日本庭園の姿を知りたいと思っていました。

さらに日本建築には、そのような昼から夜へ、そして夜から昼へというシークエンスの移り変わりに極めて劇的な効果を生む装置があります。それが窓ならぬ《柱間装置》、柱の間にある全て(あらゆる建具、そして壁さえも)です。そのちょっとした変化によって風景が劇的に変わることを私たちは想像できるのですが、それを表現することは至難の技です。であれば、もう映像に撮ってみようということで始まりました。

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パイロットプランとなった今回の対象は、香川県にある名園栗林公園とその中にある江戸初期創建の大名のための遊興建築・掬月亭です。なにせ月を掬う(すくう)亭なのですから、悪いはずはありません。10年以上前に掬月亭を初めて訪れた時は、そのメイン部分の建具の可変性に驚いたものです。その後何回も、学生を連れては訪れて楽しんでいました。建具の配置によって様々な空間が演出されます。今回香川県の観光振興課の全面協力を得て、閉園時間後と、開園時間前の撮影と記録を許可されました。上の写真は1日目(2月5日)の夕方です。

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この公園を管理されている課長の川田一郎様と、報告書を用いた当時の遊び方の道行復原など、シークエンス分析にしっかりとした時代考証を行い、臨みました。

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二日目の早朝です。まだ太陽が上らず、月が裏の山に隠れようとしています。ここから掬月亭が現れる1時間、その劇的な変化に私たち一同は、驚きました。30年研究してて良かったと思いました。 一瞬、もうすることないやと思ったぐらいです。

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早朝の園内は、起き始めた様々な小動物たちの声がきこえます。

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夜の間は閉められていた雨戸が一斉に開かれて、掬月亭は朝の貌を表します。しかしその真の意味を知るのは、その夜の姿を知ってからです。現在、撮影中、編集前の段階ですので公開できませんが、窓研究所を通してなるべく多くの皆さんに日本建築の本当の魅力の一端をお知らせできればと思います。下の学生クルー三名の顔が、よくみると全員こわばっているのは、2月の厳冬のせいです。風邪ひかないで帰ってきてください。

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最後にこのような無理な企画に理解をいただいた香川県文化振興課、そして深夜も、早朝も私たちに付き合ってくださいました、栗林公園観光事務所の方々に心より感謝申し上げます。香川県に寄られましたら、ぜひ栗林公園にも足をお運びください。

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rhenin について

中谷礼仁(なかたに のりひと)歴史工学、早稲田大学建築史研究室所属、教授、日本荒れ地学会、日本生活学会、日本建築学会などなど。その正体はResercher of temporal architectural expression.
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